第4回 戦略的パワーユーザーは『DBで組織を造る者』

私は国家機関の人事係で給与担当に就いた22歳のとき、はじめてデータベースというものに接しました。
「桐」というソフトでした。

便利だったので夢中でのめり込み、かなりの機能を使いこなしましたが、DBを扱うITスキルよりも強い関心を持ったのは『パソコンの中に組織を作って動かすこと』でした。

私は、所属する課の中で一番の下っ端だったので、上司や先輩から手数のかかる雑用を命じられることはあっても、誰かに任せることなどはできない状態でした。

しかし、アットホームな職場で、しかも順応しやすい私にとっては、雑用に狩り出される程度は“家のお手伝い”くらいのインパクトにしか感じられず、全く苦ではない。

だからそれは全く問題なかったのですが、私には「時間が無い」という別の問題がありました。

『所内の事務で最も忙しい』と同情されるほどだった私のポジションですが、理由はそれではありません。

実は、『最も忙しい』なんてことはないと思っていました。

異動前に前任者の先輩から詳しく話を聞いていると、どうも前任者たちのやり方は非効率もいいところだ、と、私は考えていました。

毎月同じことを同じように苦労する、工夫のない繰り返しにすぎないのではないか?
『最も忙しいポジション』とは、裏を返せば『非効率の歴史』が作り上げたまがい物ではないか?と、強い疑念を持っていました。

そして実際にそのポジションに就くときに、私は決意しました。
過去の歴史を徹底的にぶち壊し、自分で作り直そう、と(3年目かそこらのヒヨッ子が生意気にも)。

そして、着任初月の最初の引継ぎが終わるや否や、早速ぶち壊しを敢行しました。
年間スケジュールの説明が曖昧な引継ぎだったため、毎月のように思わぬイベントが発生します。

(なんだよこりゃ!)
と憤り、状況の理解と対応手段の構築に苦しみつつも、ある程度の方針を立てたらすぐさま旧来の手法を打ち消して改めてゆく。

”過去のものに注ぎ足してそれらしく作り、やり過ごす”という手段を嫌い、「壊してから作る」あるいは「作ってから壊す」という”本気のスクラップアンドビルド”に徹しました。

この繰り返しが継続するので仕事終わりは毎晩零時を越えるのですが、電車などは通っていない地域なので終電を気にする必要などない(寮までは車で5分。最強✌)。

そんな具合でも、やりたいことに比して時間が不足していたので、どうしても業務の手数を減らす必要がありました。

さきほど「時間が無い」という問題を抱えていると言いましたが、この「従来法への挑戦」に要する時間の無さと苦闘していたのです。

部下どころか後輩すらいない状況で、どうやって繰り返し作業の手間ヒマを短縮するか?

やはり、PCの力を引き出すしかあるまい。

私が指向していたのは「PCによるシステム」ではなく「PC内に作る業務遂行の組織」でした。

だから、かなりの程度までデータベースソフトのスキルを磨いたにもかかわらず、それには全く執着せず、DBとは完全に縁を切っていた期間が何年もあります。

再び本格的に関わり始めた時に、ようやく相棒が「桐」から「Microsoft Access」に替わり、その後に簡易システムを組む程度の技術を身に付けましたが、今はまたその必要が無くなったので、プログラミング技術は大変浅いものとなっています。

せっかく身に付けたスキルにこだわらず、平然と付かず離れずの関係が続けられるのは、DBとの出会いの最初がそうであったように、私の指向するのはあくまでも「組織を作り上げる」という意味のDBであり、IT技術に限定されないからだと思います。

<次回記事>

DBと寄り添いつつも、つかず離れずの関係でスキルに磨きをかける。 「ハイテク(ハイテクノロジー/先進技術)」と「ハイタッチ(人間同士の触れ...

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