部下の『行動記録』は、上司にわかってほしい『感情記録』

データに機能を持たせたり演算させたりすることはITエンジニアの仕事ですが、彼らが扱うデータそのものは、せんじ詰めれば個々人の行動記録のようなものです。

たとえば・・
○雨にも負けず風にも負けず、懸命の頑張りで稼いだ売上の『納品書データ』
○経理部が苦心の末に実現させた“リースバック方式”による調達処理の『仕訳データ』

など、その誕生過程にまで思いをはせると実に多彩な歴史や人間模様が描かれているのが、我々のような文系のIT素人が使いこなすべき企業内データベースです。

そんな、関わった人々の想いタップリなデータの塊を、ヒト対ヒトのハイタッチな場面に活かして独自の価値を生むことにかけては、デジタル思考に秀でたエンジニアよりも、むしろIT素人の方が長けているでしょう。

基幹システムやBIツールなど、先端のIT技術は日々進化していて目を見張りますが、多彩なシステム機能をたくさん通過するほど、素材である生データの味わい(先ほど説明した『人間模様』など)は失われ、整った加工品が提供されることになります。

便利にはなるが、そこにまつわる物語はカットされ、素材がぶつかり合う独特の個性が失われます。

創意工夫、忍耐、あくなき挑戦心、使命感など、社員たちには「頑張ったことを称えてほしい」というピュアな欲求(承認欲求)はあれど、プロとして(大人として)それを表に著さないのがマナーです。

しかし、高度成長時代なら、承認欲求を我慢する代償として生活の豊かさを享受できたため、「頑張ったけど認めてはもらえない」という境遇も、いわば「我慢のし甲斐」があったのですが、それは現代社会ではとっくに過去のものとなっています。

終身雇用や昇給・賞与などが、かつての良好な関係性を支える重要なアイテムでしたが、それが崩壊してしまっているのが、非正規雇用増加や残業代カット、昇給見送り、賞与減額などが蔓延する現代の在りようです。

それゆえ、データベースの裏にあるドロドロした感情に対する見返りを、資金的理由で提供できない企業は、必ずどこかでその代償を払わないと、企業と個人の関係性に無理が生じてきます

加工前の素材データを読み取って部下とコミュニケーションし、ドロドロした承認欲求を解消させつつ、今後の成長を促すことに、積極的になりましょう。

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