第5回 ストラテジック・パワーユーザー

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DBと寄り添いつつも、つかず離れずの関係でスキルに磨きをかける。

「ハイテク(ハイテクノロジー/先進技術)」「ハイタッチ(人間同士の触れ合い)」が濃密に交差し、目まぐるしく明滅を繰り返すランプのように、その時どきで必要な言葉や思考、行動を決めつつ前進しなければならない。

その「必要な言葉や思考、行動」が出来るようになることが「戦略的パワーユーザー」のスキルで、そのためには成長への道しるべが要る。

しかし、それを自力で見つけ出すことは難しかった。

「きっと、どこかに先人がいて、教科書になるような本やセミナーがあるだろう」

なにせ、これまでの経験上、データベースを利用して道なき道を切り拓き、業務改善どころか企業の立て直しにまで参画してきた。それも”追従”ではなく自らが企画し、推進してきた。

「こんなにビジネスに役立つ力ならば、必ず誰かが既に手掛けて、本を書いたり教室を作っていたりしているはずだ」

私は社内で自分の担当業務をこなしながら、自己流でデータベースを活用し、これまでに無かった要素を採り入れたり、あるいは旧来の弊習を取り去ったりして組織や仕事を変え続けましたが、きっと、もっと高度で洗練された手法があるはずだ、と確信に近い感覚を持っていました。

それは「何かを学ぼう」と思ったときに、反射的に考えることで、私たちはつい今までの経験上「きっと誰かが道を創ってくれているから、そこで教わろう」という思考(実はこれって『依存心?』)をしがちです。

私がこのテーマを本格的に探究し始めたのは今から10数年前です。
『データベースを戦略的に使えるパワーユーザー』というものです。

しかし、探せど探せど本は無い、セミナーもない、学校も資格も何もない。
ひたすら自己流で手探りしつつ実践するしかないのですが、これがなかなか大変です。

というのは、「ハイテク」と「ハイタッチ」が目まぐるしく交差するスキルという概念がわかりづらい。

たとえば直接人と接し、カウンセリングに近い対人接触技術を発揮しながら、同時にPCでシステムのプログラミングをするようなイメージに似ているでしょうか?

双方が高い専門性を持つスキルで、本来はそれ自体がメインになってもおかしくない事柄ですが、この場合は「組織や業務の改善のための1アイテム」に過ぎず、局面に応じて片方ずつ出したり引っ込めたりするような使い方です。

そんな実力をつけるには、学ばねばならない各論が多く、しかもそれぞれが深い。

「ハイテク」側のデータベース関係だけでも資格試験はあるし、BIツールの講習やらビッグデータの概念やら、データマイニングにテキストマイニングなど多彩なラインナップです。

だいたい、そのうちの一個だけでも身に付いていれば、技術者としてのアイデンティティを持ち、それだけでメシが食えるほどの代物です。

一方「ハイタッチ」側ですが、組織ダイナミズムの実現に向けた人間理解として、カウンセリングやコーチング技術があり、やはりこれ一個でプロとして活躍できる道が有ることは一緒です。

また、GISなど地理情報と合わせた統計解析もあり、そうなると自動的にデータマイニングの領域に入ってしまい、そこから本格的にマーケティングとの接点を見出すと、そこでは心理学も必須だったりと、突き詰めると「ハイテク」と「ハイタッチ」は混ざり合ってしまう。

糸口がたくさんありすぎて、それぞれが独自の学習機会を提供しています。
付き合いきるにはお金も時間も、気力も体力も不足です。

しかも、専門性が高いゆえ奥行きも深い。
深入りすると、私が真に求めるものとは違った方向で学習が成立し、単なるエキスパートになってしまいかねない点が問題です。

むしろエキスパートになった方が、活躍の道が開かれていて、スキルに応じた給与や報酬も得られるため誘惑が強い。
だからこそ学ぶ人が多いわけで、勉強すればするほど『わかり易い道』のほうへ学習者が導かれてしまうのは当然です。

ゆえに、たとえ1つの分野の勉強が面白くてつい没頭してしまっても、ふと我に返り『真の目的』を再認識することを、常に求められる。そして何よりも仲間がいない。
孤独感に苛まれるのは常の話です。

競技人口1名の種目には、競技ルールも教育カリキュラムもない。

これが、『戦略的パワーユーザー』の現状で、私が目指しているものです。

「教わる」ことは諦め「教えて仲間を作ろう」と、気持ちを切り替えたのは、まだほんの数年前のことです。

「棘の道」という言葉がありますが、まず”道”そのものが無い。
きっと、道を作ったら、次にそこが「棘の道」になるのでしょう。

もっとも、今さらそんなものが出てきても、おまけみたいなものですが…。