<第12回>デキるサラリーマンの予測力(2)

本稿は職場内での評価を上げるための『予測力』についての論述ですが、まずは脳の話から開始します。

未来を予測する脳の部位は、記憶を蓄えておく部位と距離が近く、デジャヴのような現象はこれに起因すると言われます。

人は、新しい事態に接したとき、まず本能的に危険を避けようとする。
将来の状況をイメージして、それに備えようとするわけです。

そのときに脳内では「予測する部位」が働くのですが、ここでちょっと間違ってすぐ近くにある「記憶の部位」が作用し、「過去の記憶を素に未来を思考する」のではなく「記憶をダイレクトに思考結果としてはじき出す働き」をしてしまうと、未知のことに向き合っているにもかかわらず“経験”を実感してしまう。

過去を探った覚えはないのに瞬時に浮かび上がる既視感。
つまり、考え出した実感はなく、何やら与えられた情報(啓示)のように感じられると、「このシーン、前にも同じことがあった」と錯覚してしまう、という仕掛けのようです。

デジャヴを神秘的なものと信じている人は認めたくない理屈でしょうが、脳内現象にすぎないという意見に私は納得しています。
それよりもこの稿は、「予測力を身に付けてサラリーマンとして出世するには?」が主旨ですから、神秘の力より脳内現象のほうが疑似場面を用意するにはより現実的です。

起きているのが脳の錯覚だとしても、新展開の場面に出くわして皆がこわごわと手探りする中、自分だけは「すでに経験済みの心境」に立ち至ることができれば、落ち着いて事態を眺め、“ためらい”ではなく“慎重に”対応する道が開かれます。

また、「頭に浮かんだ“あやふやな1回目”よりも良い形に仕上げたい」などのモチベーションにつながることもあるし、主観的な経験値が「2」であることから、体験の繰り返しとして記憶への定着度も期待できます。

<第11回>デキるサラリーマンの予測力(1)

『予測力』がビジネスを創造する、と言われます。
マイクロソフト日本法人の社長だった成毛眞さんや、サンマルクホールディングスの片山直之さんなどは、そういった意味のコメントをされています。大事なのは努力よりも予測力だ、と。

それなら、
と、私たちは考えます。

その『予測力』を鍛えることはできないのか?
もしそれが叶うのなら、次のビジネスを築き上げることができる。
新たな市場をつくって、社会に打って出ることだってできる。
四緑文鳥アカデミーの「3ステージ5プロセス」でいうところの“プロデューサー”に相当する働きです。

圧倒的な先駆者利益を手にすることができるでしょう。
だからこそ、予測力を身に付けたい人は多い。

では、どうやったらそれが可能か?

いや、自分は起業までする意思はないし、勤め先の仕事にしても、そこまで投機的なレベルにおいて責任は負いたくない。
そんなことより、今の職場内で「デキるヤツ」として有利なポジションを手にしたいだけだ。

そんなニーズを持つ人が『予測力』を高め、自分への評価を得るにはどんな手段が有効か?
これについて、四緑文鳥的視点で考えてみたいと思います。

「働き方」と「働かせ方」

「働き方」というキーワードでネット検索すると、非常に多くの情報にヒットし、しかもテーマとしてまとまっているものが多いことがよくわかります。
現役労働者や、将来労働者向け情報のニーズがいかに多いかを物語っていますね。

一方「働かせ方」は、従業員を抱える組織経営者にとっては重要な情報ですが、あまりバリエーションがなく、閉鎖的な印象を受けます。「働き方」の情報量や充実度との対比で考えれば、もう少し整っていないとアンバランスな感じがします。

事業者に向けた「働かせ方」の情報というと、今だと無期労働契約への転換に関するものが多いのではないかと思いますが、その内容は「従業員から申し出られたら断れないから、クーリング期間を活用して計算期間が5年にならないようにする工夫」みたいな、世間の波に対する受け身的なものが見られたリと、法制度に対するシステマチックな解説や、上述のようなやや後ろ向きな利用方法が掲載されている傾向が感じられます。

経営者の顕在ニーズがそこに多いからでしょうが、それらは「雇用の問題点」であって「人を活かす働かせ方」とは明らかに主旨が違う。

経営者が準備する「働かせ方」には、ネット検索でよくヒットする“法整備”という意味の職場環境と、もっと情誼的(あるいは情緒的)な意味での仕事のしやすさや面白味の提供があると思います。
後者はあまり意識されませんが、労働者、経営者共に強烈に臨んでいる潜在ニーズであり、そこに成果と評価、企業収益と個人収入への跳ね返りのイメージができていると、「ハマる職場」として事業に良い作用をもたらすのではないでしょうか。

僭越ながら『四緑文鳥アカデミー』では、戦略と戦術の説明をする題材として、情誼的な「働き方」「働かせ方」の問題に踏み込んでみました。
決して即効性のあるコンテンツとは言えませんが、サイトの主旨である「コアトレーニング」を腰を据えて行うことで、思ってもみなかった「【法人】の生活全般の改善」が長期にわたって行われるターニングポイントになると信じています。

健康寿命は個人だけに帰属するものではありません。
食べて(収益)出す(費用)だけで、豊かさ(利潤)や生きる意味(理念)を満喫できない身体(法人)にならないためには、やはり体内環境(職場環境)は大事、というか必須です。

この2週ほど、告知不足だった『四緑文鳥アカデミー』の紹介文を連日アップしてきましたが、このへんで一旦休止し、小説など他のコンテンツを開始するつもりですので、そちらもよろしくお願い致します。

忠実な部下が上司を言い負かす時

「上司のいうことを聞かなければならない」という制約は「上司のいうことを聞いていれば良い」という保護を、同時に受けていることでもあります。
「そんな単純なものではない!」といった言い分はいくらでもあるでしょうが、いずれにせよ、世界を狭く見ていられる心易さの代償といえます。

下積み時代に先輩や上司の言に従い、たくさんの経験をして視野を広げるのは大切なことですが、その『視野を広げる』という事柄の中には、上司を説得して自分の意見に従わせ、業務の流れを変える、なんて矛盾するようなものもあります。

「上司のいうことを聞かなければならない」という不満を漏らすのは、たいていは言うことを聞く忠実な部下(良い子)であることが多いですが、それゆえ上記の局面に立ち至ると葛藤や恐怖に耐えかねて「見て見ぬフリ」で正面から問題に取り組む努力がおろそかになることがあります。
自分でも問題から逃げている後ろめたさがあるので、そのエネルギーが上司の愚痴へ転換され、愚痴を繰り返しながらキャリアを重ねているうちに、ディベートが弱点になってしまうなどの歪みを生むことがあります。

『四緑文鳥アカデミー』では、良い子が一皮むけるプロセスを掘り下げています。
一皮むかずに年齢を重ねた時の悲哀にも少し触れていますので、心当たりのある方は、周囲に気づかれないように注意しながらそっと覗いてみてください。

戦略は鏡に映らない。見映え担当者の心得は?

「チーム力を上げるように」と命令されたとします。やり方は任せるので全て自分で考えろ、とも言われた。

「そんなこと言われて、どうしたらいいんだ?」と悩む人や
「そう言われるのを待ってたんだ!」と喜ぶ人など、その悲喜こもごもはともかく、大まかな流れとして以下が考えられます。
 1:チームメンバーを鍛え直す
 2:チームメンバーの動きは特に変えず、働きを増大させる
番外:自分が3倍働く

「1」を試みるも最後は「番外」へ追い詰められている方はいないでしょうか?
自分がメンバーを直率するリーダーだった時代なら、番外的な動きで上層部の目をごまかすことも可能でした。
しかし、リーダーたちを束ねるほどに出世してしまうと、そうした手は通用しない。

これこそが、戦略のフィールドに立ったことを実感できるシチュエーションではないでしょうか。

冒頭の「悩む人」のようにここで嘆くのは、リーダー時代に戦略的発想の養成をおろそかにしてきたからかもしれません。
リーダー用の装備は充実していたが、マネージャーに昇格したら素手になっていた、では、出世をきっかけに崩壊が始まりかねません。

『四緑文鳥アカデミー』では、戦略発想の前に「仕組発想」の解説をはさみ、戦略ステージに上がるための準備を行いやすいように配慮しています。
固定した姿を持たぬ「戦略」を扱うためのキーポイントに意識を向けるきっかけにしていただきたいと思っています。

作業量より、圧迫が怖い時代

「人が欲しいというが、今は増やせない」と突っぱねられるが、その厳しい状況の“今”というキーワードを支点に、
「今、こんな動きがあって、その影響で今後こうなる」と言われて、仕事だけが増えていく……。
力点の弱さを訴えているのにその部分は増強されず、支点までの距離を離す配慮どころか逆に手元に寄せられてしまうという、完全な「逆レバレッジ」で追い詰められていないでしょうか?

安直に「仕方ないから、今いる部下をこき使えばいい」とは言いづらい社会情勢であることは、昨今の事件や、それを受けてうるさくなってきている雇用や労働関連の法整備からも明らかです。
つまり、今まで1日100回行っていた作業を、部下を脅しすかしして1日に500回やらせるといった戦術強化では、事業活動にほころびが出てくる局面になったということです。

「“改良”ではなく“革新”」「戦術ではなく戦略」という発想の転換は、バブル崩壊後のビジネスではとっくに着手されていたことですが、ビジネスモデルレベルでの転換から今や『部下の働かせ方レベル』にまでもその影響が及び、おまけに法規による制約を伴って現場(特に管理者)に突き付けられるようになりました。

『四緑文鳥アカデミー』では、戦術的な働きと戦略的な働きとは何なのか? に加えて、戦略を戦術として効果的に展開する“仕組的な働き”についても詳細に解説しています。
増大する作業量や各種の課題など、消化不良なほどの仕事に圧倒されている方や、その予備軍の方は参考にしてみてください。

新人が指導者を育てる相互教育の職場環境

仕事は丁寧だけど、作業速度が遅い新人への指導の多くは「もう少し、スピードを上げてみようか」というアプローチ法になると思います。
無難だけれど、コミュニケーションのパターンは限られています。

一方、仕事は早いが仕上がりが荒い新人への指導は多くの場合、アプローチ法は豊富なバリエーションを具えることになります。

仕事の性質によって、適性は前者タイプの新人が良いか、それとも後者タイプが良いかは異なりますが、いずれにせよ後者タイプのほうがより多くのコミュニケーション量を必要とするため、「指導者が新人に話しかける機会」が多くなる傾向があります。

教えることにより、指導者側がその事柄についてより理解が深まるのは、教育カリキュラム上有効なことだし、覚えたことを後進に向かって披露したくなる人ほど、その性格上「話しかける機会が多くなる、仕事が荒いタイプの新人」はうってつけの存在です。
先輩として何かと世話を焼く対象となるし、逆に新人の側からすると、自分のキャラクターは可愛がられやすいといえます。

となると、状況によっては、そつなくこなすことだけが新人の実力というわけではない場合が、職場というところには存在することになります。

『四緑文鳥アカデミー』では、新人らしく振る舞うところから、頭角を現して他者を動かしていくようになる過程を、順を追って書いています。
新人も先輩も上司も、この情報を共有したうえで、改めて配役や演出をし直してみてはいかがでしょうか?

リーダーの腕前

人の先頭に立って集団を率いるリーダー。
一騎駆け型、人望型、策士型、乱暴型など、個性は十人十色です。

しかし、リーダー個人の強み(コア・コンピタンス)はともかく、この人がすべき仕事は、部下の変遷によってその時期の部内スキルがどんな偏りを見せても、常に一定以上の成果を挙げ続けて見せることです。

強みだけで勝負していては効率が悪い状況になることもあるでしょうし、同じ形の負荷ばかりかけていると金属疲労で組織の支柱にヒビが入って収拾がつかなくなることもあります。
そのタイミングでシステム化が行われたりすると、リーダーの個性が反映されたシステムではなく、リーダーの個性をスポイルするシステムへシフトする等の反動(メンバーの内心の表出?)もあり、互いにシステムを盾に取った暗闘に発展するなど、私が小説に書いてみたくなるような場面も考えられます。

本格的な戦略眼が求められ始めるリーダーの姿について、『四緑文鳥アカデミー』では「リーダーは“仕組領域”の担当者」という視点で解説しています。

部下のまとめ方に悩むリーダー
悩むリーダーを部下に持つ上層部
いずれにも参考になればと思いますので、そういう方は是非ご覧ください。

「飽きっぽい」は改善名人候補

「変わり映えのしない毎日が退屈」「飽きっぽい」
何かとこう思う人は“改善”に適している側面があります。

でも、「変えようと試みてもうまくいかないから、面倒になってやめてしまう」という人も多いでしょう。結局、せっかくの進取の気性が活かされないことがある。
しかし、そのうまくいかない原因が、やり方にあった可能性もあります。

というのは、アイデアが湧いてしまう人は、「こうすれば、もっと良くなる! だから、変えてあげよう」という親切心が周囲の中で突出しすぎていることに、あまり頓着しない傾向があるからです。

提案が上手くいかなかったときを、よく思い出してください。

意見が通るだけの自己演出はしっかり準備出来ていたでしょうか?
何のお膳立てもない改善提案は、ただの文句というふうに受け取られ、そうなると警戒されて、実現への道はますます険しいものになります。

まずは、日常業務を回している「仕組」を扱うレベルまで昇ってしまうのが手っ取り早いことに気づき、そこへの前進を続けていく作戦行動は、やってみると結構楽しかったりします。
そして、目的地にたどり着くころには、もどかしかった下積み時代とは打って変わり、様々な変化を自らが起こしうる立場になれたことで、かつての望みが叶ったことに気づくことがあります。

下積み君たちの頑張りどころをしっかり捉え、つまらないことで有為の人材を失うことが無いよう、『四緑文鳥アカデミー』では下積み時代の評価や心理についても解説しています。楽しみながら読んでみてください。

戦略、戦術の区分けを社員と共有する

「戦略」「戦術」という言葉は、単語としては明確ですが、使う時には抽象名詞になりがちです。

しかし、それらを企業活動として展開するとき、従事するのは社長や社員という具体的な存在です。
「お前、戦略担当な。で、お前は戦術をやってくれ」という指示だったら、社員たちは自分が何をしてよいのかわかりません。
だから、この区分けができていないと、業績の向上や社会貢献度の深まりは望めません。

特に社長は、この区分けがはっきり見えていなければならない。
欲を言えば、社員にもある程度の認識をさせておきたい。
それには、日常的な姿に落とし込んで、イメージ可能な形で、抽象名詞である戦略と戦術について示された資料が欲しい……。

『四緑文鳥アカデミー』では、そんな方たちの参考になるように、社員が戦術担当→(仕組担当)→戦略担当へステップアップする過程について、ストーリーと配役をモチーフに著してみました。
「戦略」や「戦術」という単語が、社内で「生きたコトバ」として使われることを望む方は、是非ご覧ください。