第3回 データベースでホワイト企業を作るなら

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技術者にシステム改善の依頼をするには、想像以上に高度な要求スキルを要することに気づけないため、結果的にムダな物を作らせがちだということを、前回の記事で書きました。

業を煮やした上層部が「技術者へ安易に要求するな!」と歯止めをかけて現場を圧迫するので、現場は「欲しい物」より「権力者が気に入る物」を要求する方向へ傾くといった話ですね。

必然的に、販売拡大の補強策とか、目先の緊急案件が優先されるので、どうしても「攻め」の機能ばかりが開発される傾向にあるということでした。

大体の企業がそうであるため、データベースを「“守り”の充実」「攻防力の向上」に使おうなどとは意識にも上らないので、ここを深掘りする人はまずいないと思います。

たとえばカゼ対策のプロモーションを打つときの企画ならば
「ここだけの話 ~ 風邪をひかない生活環境」

という講演案内より

「1000人に聞いてみた!あなたが頼りにする風邪薬トップ20」
のチラシのほうが関心を引きやすいのと似ています。

このようなDB活用コンセプトがあるとしましょう。

データベースで、職場の良好な人間関係をつなごう
データベースで、好意的なコミュニケーション手段をたくさん持とう
データベースで、前向きな気持ちをもって働き、高い生産性を実現しよう

「データベースで、」という言葉さえ入らなければ、何の違和感もないでしょう。
しかし「職場の良好な人間関係つなごう」という違和感のない文言では印象に残らない。

この「データベースのトリセツ」で私が主張するのは、その「違和感のある」文脈のほうです。

「データベースで、」という言葉は、抜けないのです。

ちなみに上記でいう「好意的なコミュニケーション」には当然、新人教育やスキルアップ教育なども含まれます。

つまり、「情緒的成長」と「業務スキル取得」の両面から人が育つ環境を整備し、価値観を育てていくという意味では、教える側も共に学び続けるのが組織というものでしょう。

良好な人間関係を保つために、よきコミュニケーション手段に磨きをかけ、前向きに仕事へ取り組む環境作りが常に実践的に行われる「教育現場」でもあるのが会社です。

普通は「業務スキル」を教えることが主で、情緒面は切り離されて「接遇訓練」とか全く別のおまけ的に扱われるのが一般的でしょう。

マナーは実務から学ぶ、とばかりにそれも直属上司や先輩に流れのまま任されてしまいますが、「マナー」と「仕事で生じた感情の処理」は全然別のものです。

教育する対象から落とされてしまう「感情処理の方法」を、DBによって行おうとするのが、人間の行動記録であり、かつ感情記録データの持つ情緒性にスポットを当てる方法です。