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「仕組」と「戦略」のつなぎ目を果たす『リーダー』
段階1~3のプロセスにおいて「繰返し作業の徹底」を経験し、まずは自分自身が作業に習熟。
その後「作業マニュアルの整備」でチームメンバーの効率を上げる企画を立て、統率の疑似体験をしてきました。
今度は疑似体験を卒業し、実践段階に入ります。
所属ステージ[SS] ~ [SSS] 活動領域 [仕組50%] [戦略50%]
配役:リーダーまたはマネージャー
ミッション ⇒ 「チームを率いよ」「チーム力を高めよ」
プロセス5段階を展開⇒5プロセスの表を別画面で開きたい方はこちらからどうぞ
サブリーダーが構築した仕組でチームを動かし、その効果を実証検討するのが、統率領域の前半に位置するリーダーです。
通常このリーダー役の人は「プレイングマネージャー」として先頭に立って駆けているはずです。
そのため、戦術の専門家のような印象を受けますが、この人の最大の持ち味は、自分の下に配属されたメンバー構成の如何を問わず、一定以上のレベルで仕事を成し遂げるところにあります。
たとえば、3名いる部下すべてがスペシャリストだったら、戦術は非常に強いがルールの整備(仕組)は弱いチームになります。
高まった属人性が大幅な混乱をもたらして、生産性を下げてしまう懸念もある。
そのリスク防止のため、リーダーは戦術面の推進は部下たちに任せ、自身はサブリーダー役に重心をずらしてバランスをとりながら、3名をサブリーダーに引き上げる教育を担います。
もしも、サブリーダー1名にルーキー2名だったら、作業の中核になるはずの「スペシャリスト」「アシスタント」が不在の組織です。戦術力が圧倒的に不足しています。
このばあいのリーダーは、サブリーダーがルーキーの手本になるよう、一段階下のスペシャリスト役を務めさせ、自身はサブリーダー役を肩代わりし、2名のルーキーをアシスタントへ引き上げる方針で動くのがよいでしょう。
ただし、この陣容だとどうしても戦術面が弱くなるので、業績面は振るわないかもしれません。
しかし、ルーキーの育成は組織的に大きな評価ポイントになり、2名のルーキーを短期間でスペシャリストまで育てられれば功績は大きい。
このチーム用の業務マニュアル作成は、ルーキーの促成に特化した形に組み替えるなど、状況に応じリーダーは多彩な手段を駆使します。
このように、その時の状況に応じて最適な戦法を採択し、戦術を展開させるのがリーダーの真骨頂です。
そのためにマニュアル整備を重視するか、率先垂範の実技指導を重視するか、そのスタイルは常に一定することなく、それにより一定水準の結果を残します。
それゆえ、自分自身が戦術領域に深入りしすぎると、肝心のチーム統率テクニックが単調になり、次の段階へ進むためのチケットは中々手に入りません。
「万年係長」とか揶揄されるのはこういった状況で足踏みしたときでしょう。
それでもここまで進めれば、立派な中間管理職。
忙しくバリバリやる活気の中で働きたい人にとっては、ある意味充実した仕事人生が送れるかもしれません。
腰を据えて『戦略』に専念する存在「マネージャー」
「戦略とは見えざるもの」といいます。
この領域を担当する人は、その活躍が人目につかず、手柄を上げたのは結果を出した戦術担当者という形になることがほとんどです。
そのため、頑張った割には拍手喝采を受けことがない静かなる役回りを果たす、目立たない存在です(当人の性格次第ですが……)。
これこそ以前の記事でふれた、「フィクサー・参謀・軍師」の姿といえるでしょう。
この「マネージャー」という役割には、チーム一丸で頑張るというより、一丸となったチームが高い成果を出せるような場作りの能力が求められます。
チーム力を高めるには、メンバーが伸び伸びと実力発揮できることが、なによりもまず重要です。
その為の「場作り」を大きく分けると、ソフト面とハード面の充実という要素に分かれるでしょう。
このふたつはトレードオフの関係になりがちです。
だいたいにおいて「カネが無ければチエで何とかする」となるでしょう。
ハード面充実の例を挙げると…
オフィスの立地や設備の快適さ
室内レイアウトの理想的配置 …など
たしかにこれらが整えば、スタッフの能率は上がるかもしれません。
しかし、小規模企業でそんな費用は捻出できたものではありません。
それになにより、設備や機材に大金をかけたからといって、人間関係までが良好になる保証はありません。
それよりも、ソフト面の充実を優先することが、特に小規模企業では切実なサバイバル技術になります。
ソフト面充実とは、たとえば以下のようなものです
相互扶助の文化
生きがいや張り合いの提供 …など
これらを整えて生産性を上げ、得た利潤をハード面の充実に再投資するほうが、社員と会社が両輪の関係で成長していけるのではないでしょうか。
また、上に挙げたソフト面充実の要素で忘れてはならないもののひとつに「部下たちを前面に出す育成」があります。
頼れるリーダーが先頭で皆を率いるのは良いが、常にリーダーがいないと部下が力を発揮できないのでは、次代のリーダーが育ちにくい。
チームが自動推進するよう努め、自身は徐々に身を引いてメンバーの後見をする一方で、ハードとソフトの充実度を上昇させるために手を砕く段階に入ります。
ソフト面の整備をしつつ、これまでいつもすぐ横にあるのに享受できなかったメリットを、現実のものにして行く努力に邁進するのです。
これも簡単に例を挙げると…
関連顧客層へのアプローチ許可取得
資材調達ルートの確保
ロジスティクス独自管理のライセンス獲得 …など
これまで業績アップの障害となっていた条件が除去されたり、事務のフラストレーションが軽減されるといった効果を呼ぶことで、チームは益々働きやすくなります。
「社外の顧客」が“市場”なのはもちろんですが「社内の関係部署」も”市場”とみなすのが、組織力学の面白さです。
事業部門・管理部門の双方の視点に立ち、自分たちにとっての“市場”に対し、チーム力をどのように発揮したいかを定め、積極的に働きかけて影響力を増していくと、明らかに個人レベルとは違う広がりが実感できるでしょう。
広がった市場に見合うチーム拡大/新チームの設置により、マネージャーの活躍範囲はさらに広く深くなっていきます。
ここまでくれば、最終段階にコマを進められることでしょう。
初級参謀から上級参謀への飛び級は可能か?
参謀(スタッフ)を「企画職」として考えてみます。
これまでの解説の中で“企画的役割”としては、
業務を仕組化する「サブリーダー」とチーム力を底上げさせる場作りの「マネージャー」がいました。
サブリーダーとマネージャーの中間には「リーダー」がいるのですが、どちらかといえば
「部下に力を出させる」リーダーに対し、
マネージャーは「部下の力が自然に増幅する仕掛け」を担当します。
両者ともチーム全体の業績向上に貢献しますが、より貢献度が高いのはやはり、“3の力を10にする企画力”を持つマネージャーということになるでしょう。
仕組ステージに昇格したサブリーダー時代に、初めて経験する企画の魅力に目覚め、「このまま”企画畑”で立身したい」と願う参謀志向の人は多いと思います。
つまり、サブリーダー → マネージャーと、その中間の「リーダー」を飛び越えての昇格を目指すということです。
しかし、マネージャーという役割は、単純にサブリーダーの延長というようなものではありません。
サブリーダーの次に経験するリーダー職というのは完全に「責任者」です。
この時に課されるのは
「計算どおりに動かない現実を一旦飲み込んでしまう度量」
「車を走らせながらタイヤ交換の指揮を執るような即応性」
といった不確実性への耐性や対処力が求められます。
もし、これらが身に付いていれば、サブリーダーからマネージャーへ飛び級したとしても、新しいその役割を無事務められる可能性は高い。
でも、なかなかそういう人は居ません。
すくなくとも、サブリーダーの立場でそこまでの能力を持ち合わせる人は少ない。
マニュアル作りが主務のサブリーダーは、通常、規則性に基づいてマニュアルを作成します。
いったいに、彼らが作るマニュアルというヤツは、つじつまが合わないと完結しません。
もちろんそうでなければならないのですが、技術系やアカウント系で長くキャリアを積んだ人に多いのが、その「つじつま仕様」を容赦会釈なしに顧客対応などの前線で働くスタッフにあてがって批評家になるタイプです。
一言でいえば顧客対応の経験が浅い、または無い人。
そして共感的理解の感覚も浅い、または無い人です。
こういう人たちが何を言うかというと
「シミュレーションによれば、今の戦力でこれだけの成果が出せるので、この状態には間違いがある」
と、試算と現実にギャップが生じた場合、何よりもまず試算が正しいとするところから始めます。
現場側としては残念なことですが、こういうタイプは「報告」では納得してくれないことが多い。
自分たちが机上で行った事前検証が甘かったことを棚に上げ、現場に対してはほとんどの場合、試算どおりに動かなかったことへの反省と謝罪を求めてくることさえある。
改まった会議にズラリと揃うお偉方の前では、もはや「企画担当者たちの甘かった事前検証」にメスを入れる発言などは口に出せたものではなく、現場担当者は苦しみつつ机上の空論に話を合わせざるを得なくなる。
しかし、そこまで現場を追い込む前に、自分たちが行ったシミュレーションと実際の動きとの差異の激しさに問題を感じ、その指摘に対する現場の反応も当を得ないなら、自身が現場へ赴き実地確認すべきです。
計算基礎に致命的な見落としがある可能性「大」だからです。
そしてその時には『視察』などと称して傍から見物をするのではなく、接客現場なら共に接客し、作業現場なら実際に動いて実情をたっぷりと体で感じなければ生きた企画など作れません。
もしも「そこまでは自分の担当ではない」と考えるなら、サブリーダーからの飛び級などという大それた野望は持たず、やはり一度リーダー職で『当事者』としての場数を踏まないとマネージャーとしては役に立たないでしょう。
サブリーダーは、業務に精通した人が初めて経験する「スタッフ職」またはそれに近いポジションです。
一瞬、賢くなったような気がするでしょうし、現に賢くなっているとは思います。
しかし会社は規則性に基づかない計算で動いている部分が大きく、それ用の計算尺は、やはり生身で人を動かす経験を通じて手にするのが手堅い方法です。