戦術ステージの第1段階は早いところクリアしないと「できない奴レッテル」を貼られ、後々不利な場合があることはお分かりいただけたかと思います。
よほどの場合を除いて、第1段階は無難にクリアしたものとして、次の②経験知識を見ていきます。
所属ステージ[S] 活動領域 [戦術100%]
配役:アシスタント
ミッション ⇒ 「知識を使って作業効率を上げよ」
この段階は、いわゆる「慣れ」というものが身に付いてくる時期です。
ただし、「慣れ」という言葉は状況に応じて非常に幅広い意味を持つので要注意です。
ひとつの作業を、どうにか他人に頼らずにできるようになった新人へ
「慣れてきたね」
と声をかけるとき、この「慣れ」という言葉が使われます。
その一方、目にもとまらぬ手さばきで大量の作業をこなす人が、そのコツを質問されて
「まあ、慣れですね」
と答えるような時も、全く同じ「慣れ」という言葉が使われます。
しかし、ニュアンス的に両者の違いは歴然です。
前者の「慣れ」が後者の「慣れ」に進化する過程が第2段階の【経験知識】です。
第1段階の「ルーキー」とは違って第2段階の「アシスタント」は完全にライン業務の中で時間とコストの計算要素に含まれます。
「戦力」なんて表現をされるのも、この段階からでしょう。相応の責任を負うことになります。
「できる」だけでよかったルーキー時代とは違い、「早くできる」ことが強く求められます。
ただし、早くてもミスだらけでやり直しに倍の時間がかかるとか、後工程に入ってから発覚して別の人の手を止めさせる羽目になっては、結局ルーキーを抱えているのと変わりません。
そこで「正確にできる」ことも同時に求められます。
単位時間内でどれだけ件数を多くこなし、かつ、ミスが無いかが問われる中で身に付けるのは多くの場合、自分なりの「手順」とか「テンポ」とか「道具」です。
これらをうまく組み合わせて、ルーキー時代とはけた違いの作業効率を実現させる経験値が積みあがると、次の段階が見えてきます。
Contents
停滞の誘惑が多い「アシスタント」
この「②経験知識」の頃になると、なんだか1人前になれたような錯覚を起こしがちです。
「期待以上の早さで作業を終わらせた。ミスもほとんどなかった。
でも油断は禁物。「実るほど頭が下がる稲穂かな」だ。気を引き締めて次も頑張ろう」
大変立派です。その意気で頑張れば、直属の上司はとても助かります。「アシスタント」の面目躍如です。
しかし、いつまでもアシスタントでいるわけにはいきません。
後輩は次々と入ってきて、年齢や年次で上になります。
そんな中、ずっと同じ位置に留まったまま、自分を追い抜いた後輩のアシスタントを務められますか?
後輩たちは、自分よりずっと先輩がアシスタントでいて、仕事がしやすいでしょうか?
現実逃避のための「フィクサー願望」
昇進が遅い現実に直面しながら「いつまでもこのままでいたくない。自分にはもっと実力があるはずなのに」と理想と現実のギャップに悩み、そのストレス回避のためにフィクサー願望を持つ人がいます。
他にも「参謀」とか「軍師」など、同じニュアンスの呼称があります。
この人種の働きを評した言葉には、“知謀の士”や“謀を帷幄の中に運らし勝つことを千里の外に決す”など、仕えているリーダーよりも補佐役の彼らのほうがカッコよい雰囲気すら感じられます。
それゆえ、この立場にあこがれる人は多い。
「自分はアシスタントとして上司を補佐している」
この状態をフィクサーと混同し、立ち位置を勘違いする人も、実は結構多い。
そして、フィクサーであるはずの自分への扱いが低いことに、不満がつのる人もいる。
フィクサー願望を持ち続ける「うだつの上がらない中年」
十年ほど前、あるクライアントで私より2~3歳年上の社員さんが珍しく私をランチに誘いました。
「俺はフィクサーのポジションを獲りたいんだよなぁ」と願望(というより愚痴)を語り始めました(残念ながら真逆の扱いを受けている人でしたが……)。
たぶん、採用される時に役員から、期待の言葉をかけられていたのでしょう。
私は彼に対する役員からの不満を聞いており、そんな彼がフィクサー願望をもつなど、随分と身の程知らずに思えたものでした。
しかし、その後接する機会が増え、よく観察してみると、努力嫌いの一発狙いかと思った私の想像を裏切り、彼は素直で従順な性格を持ち、その姿勢で日々の仕事に取り組んでいました。
他の社員からの評判が良かった点などから考えると、彼は「優秀なアシスタント」のところで伸び悩んでしまったタイプなのでしょう。
彼のフィクサー願望はあくどい動機によるものではなく、思うように活躍できない葛藤の中から生まれた「癒し」だったのだろうと今は考えています。
しかし、フィクサーとアシスタントは違う。
従順でへりくだる謙虚さは美徳ですが、思い描く将来像と現時点の自分とのギャップを、いつまでにどの程度埋めたいかを明確にしておかないといけない。
そうしないと、いずれ「実力が伴わない身の程知らず」として一層苦しい立場に置かれる可能性があるので要注意です。