第1幕:会計事務所からやってきた、会計を知らないスペシャリスト

(お呼びですか?
まさか経理の話じゃないですよね?)

私が会計事務所時代に常駐していたクライアントは、創立1年足らず、正社員4名と派遣社員数名のベンチャー企業でした。

そこへは一応、会計のスペシャリストというふれこみで着任しましたが、当時の私は民間企業の経理経験などありません。

メッキがはがれ、無様な姿をさらしたら最後、良くて雑用係へ回され、悪ければクビです。

さいわい、経理事務は親会社でまとめて行っていたので、社内には私のメッキを見破れる人は居なさそうです。

先にタネ明かししてしまいますが、結局最後まで経理経験が無いことは問題にされず、それどころか着任から約半年後には、経営立て直しのプランニングを任されることになりました。

このような顛末はかなり異例なことです。

まず、私のような公務員上りがスンナリとクライアント企業に入り込めたことが異質でした。

私のいた会計事務所はスタッフ数が多く、クライアント先へ派遣されること自体が競争です。
当然、経理経験が豊富な即戦力の持ち主が強い。
そんな中、経験ゼロの私が抜擢されたのにはもちろん理由があります。

私の出番に先立つこと1週間ほど前。
クライアントの親会社である某有名企業から、有価証券報告書の作成スタッフ要望がありました。
むろん、その際の社内選考で私の名など出るわけもない。

妥当なスタッフが選抜されて面接を受けに行った先で、相手の役員がふと、こんな悩みを漏らしたそうです。
「ウチの新しい子会社に派遣社員が居付かなくて困っている。業務体制がキチンと出来上がっていないからなのだが、この問題を何とかできないだろうか」

それを聞いた営業担当はコンマ何秒の速さで「最適な人材がいます!」と請け合い、私を引っ張り出しました。

(頼むから乱れてくれ!
平和だと困るんだよ色々と・・)

入所早々から、なぜか私のイメージは『乱世に強い』でした。
たしかに、役員が言うその子会社の内情は乱世のようで、経理のスペシャリストなどは求めていなさそうです。

私が乱世に強いかどうかはともかく、社内がそれほど乱れているなら、ドサクサ紛れで経験の無さをごまかせそう
私にはうってつけの環境でした。

面接はパスしたものの、予想どおり、仕事内容には少々クセがありました。

着任早々「まずは、ウチを理解してほしい」という言葉と共に、財務諸表や稟議書など、一抱えもある資料をドサッと渡され、「それで、今週は何をするつもり?」と問われたら、純粋な経理屋さんにはツライことと思います。

担当作業は与えられず、周囲では電話が頻繁に鳴り、他の派遣社員がその対応に追われています。
(どう見ても人員不足だ。自分も来週ごろにはあの中のひとりか…)

会計事務所から「経理スタッフ」としてここに入ってきたら、絶望するかもしれません。
電話応対ばかりで経理のキャリアも積めない。
専門性の高い人達には、何の魅力も感じられない環境です。

しかし、専門性を持たない私は好きも嫌いもなく、何でもやらなければならない。

親会社の役員からは「業務の交通整理をしてくれ」と言われているけれど、そこから先の具体的なことは自分で見つけなければなりません。

さてどうするか?

一般に、派遣社員の大半は、クライアントのことをほとんど知らないまま着任します。 まずは『即戦力=作業のプロ』と考え、与えられた作業をそ...

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