(3)ジリ貧上司は、素直な若手の経年変化かもしれない理由

前回までに、何かというと「CD(コストダウン)」の単語を持ち出す人は、反骨精神を持つ部下からは“会社をジリ貧にするダメ上司”と見られかねないが、経営トップから見れば“無難路線を実直に歩める社員”として信用がおけるという話をしました。

「思い切り経費をかけて推進する局面だ」という判断は、多くの場合トップ以外には出来ないので、中間管理職には手堅さをモットーにしてほしいという事情があるからです。

しかし、「手堅く締める」のは手段のひとつであって、生涯そのスタイルを貫けとは、トップは思っていない。
育った幹部は、時に攻め時に守りを適切に行って、トップの片腕となってほしいのも、経営者の切なる願いのはずです。

私の知っているある経営者は、営業所長たちのプライシングセンスのなさをよく注意していました。

利幅が多く価格弾力性のある製品を扱わせると、新規取引先を取るためにいとも簡単に値引してしまうからです。

後の業績に関わるから値引きってものはそんな簡単にする者じゃないと注意し、口を酸っぱくして「粗利、粗利」と教え込む。

素直だから口移しのように「粗利、粗利」と言うことは覚えたが、肝心な交渉のタクティクスは身につかないまま役員クラスになってしまい、後進の営業所長たちの指導に当たるものだから、元々素養を持っていて自力で育った次世代の所長以外には、経営トップが言う“粗利”の意味が浸透しない。

「簡単に値引きするからなぁ。利益が無くなってしょうがないんだよなぁ」

本心を韜晦しているのかどうか、真意の読めない表情でひとりごとのように呟いていたのが、今でも記憶に残っています。

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