密やかな協力者~ランダムのネスト編40

野心の強いエリートが、部下の不穏な空気に揺れ始めるときの行動には、どういった傾向があるだろうか?

いや、一概に「こうだ」という法則性はあるまい。

表面的なプライドを平気で捨てられるタイプか、何があろうと上位者の姿勢を固持するタイプかによっても全く違う。

部下の立場からは当然「上には弱く、下には冷酷に」という上司が最悪だが、どうやらB氏はそうなっている様子がうかがえる。

よく、挫折の経験のない優秀なエリートが、社会に出てから初めて「追いつめられる経験」をしたとき、ヒステリックになると言われるが、B氏はどうだったのだろう?

今使われている次期計画用の元データを普及させるまでに、自分のアイデアが無視や批判にさらされる程度のことは、何度も経験済みだと思う。

「M川。じゃあ、東京事業部のメンバーはこの時間も」A氏は壁時計をチラリと見て「調べものをしてるのか?」

残業をさせないこともまた、B氏が誇る社内へのアピールポイントだったはずである。

「社内にはいませんよ。形式上は帰宅してますけど、リモートワークです」
M川の言葉に、A氏のメンバーたちはため息や悪態をつく。
もともとB氏に悪い感情を持つ面々だから、東京事業部への同情とB氏への反感は一層強いものになった。

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