密やかな協力者~ランダムのネスト編39

まとまりが無くなってきたので、A氏が話を戻した。

「M川。Bさんが有効データ率60パーセントに固執し始めるほど不安になったっていうのか?」

「伝票の数が1万枚あって、規定より50回多い6050回の有効判定が出ても、ランダムの影響値は0.5パーセントですけど、100枚の伝票で61回有効判定が出たら影響値は1パーセントで、2倍に跳ね上がりますよね」

「……それはそうだが、母数が違うんだから、影響値ってのを同じ尺度で考えるのは違う気がするな」

「『プログラムで動いてる』って聞いちゃうと、とんでもない精度だって先入観があるんでしょう……役員たちにも。Bさんも詳しくないから、現実離れした論理でオレのプログラムが指弾されて、役員会議から戻ってくるなりオレたちに当たり始めたんですよ」

「東京事業部の他の事務スタッフも?」
「全国の事業所に提供した、過去何年か分のデータを全部調べさせられてますよ」

「なんだよ! そりゃ」
思わず吉井の声が大きくなる。

「計画値の元データで、使用済みのモンだろ……。むしろ事業所が翌年に出した業績のほうを見たらどうなんだよなぁ?」
安藤も呆れている。

たしかに、実際の業績が計画とかけ離れていて、その要因が全くつかめないような現象でも起きていないかぎり、少なくとも過去の計画値算定用に使われた元データの精度など、わざわざ記録をひっくり返してまで部下に検証させる必要はないだろう。

B氏は、そこは部下を守るべきだろう。

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