密やかな協力者~ランダムのネスト編36

「時間無いから手短に言いますけど、次期計画の元データ出力用のプログラムが変わります」
M川が先ほどA氏に手渡した紙を取り戻し、そこへ手書きした。

Dim n, rVol, i, cnt

    For i = 1 To rVol
    '1~100の数字をランダムに選択してnに代入する
    n = Int((100 - 1 + 1) * Rnd + 1)
    'ランダム値が1から60までだった場合
        If n = 1 And n 61 Then
            '有効値cntを加算する
            cnt = cnt + 1

            'B列に1(有効)を入力する
            Cells(i, 2).Value = 1

「これは?」
A氏を含め、部屋のメンバーたちは全員営業専門でパソコンにはあまり強くない人間だけに、書き加えられた文字の意味するところがさっぱり分からない。

「ランダム値を振り分けた回数を、最後にエクセル出力する命令を追加したんです」
M川の発言に、全員が静まり返る。
その静寂の意味を感じ取ったM川は言葉をつけ足した。

「スゴイことやってるように聞こえるかもしれませんけど、この程度のプログラムなんて、全くのシロウトレベルですよ」

「そうなのか? 我々はこういうものを見てもチンプンカンプンだから、シロウトレベルって言ったって、何かスゴイことやってるなとしか思いようがないんだが……」
A氏は、そのことによって自分のプロジェクトが決定的に追い詰められることも忘れ、M川の言葉に陶然とした。

「オレ別にシステム系の人間じゃないし、自分の業務を短縮するためにネットで調べてるうちに、ちょっと詳しくなっただけです。それで、今使っているこのプログラムも、Bさんに言われて作ったんです」
ホーッ、という感嘆の声がメンバーたちから漏れる。

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