密やかな協力者~ランダムのネスト編09

東京事業部が、各地の事業所へ提供する概算値は、“実績値を元に作られたたたき台”だ。

事業所長たちはそのたたき台に対し、ノルマの伸び率に不足している分の売上利益や、新展開要素などを加筆すれば、ほぼ完成と言って良い事業計画が出来上がる。

顧客対応や営業資材管理、部下の掌握など何かと忙しい所長たちにとって、何よりもありがたいのが、この事業計画の9割方までの作成プロセスが、幹部に理解しやすいものであることだ。

自分が手を加えた約1割のところさえ説明できれば、次年度計画会議で余計な追及を受けることなく、あっさり承認される確率が高い。

普段の日常では現場主義の思考一色な所長たちにとって、本社の会議での役員や幹部向けの説明展開を考えるのは苦痛だ。

おまけにそれが、次期の計画とくれば、いわば言質を取られるに等しく、もし達成できないと来年の会議では「言い訳」のための作文が必要になる。

二重に気の重い会議のことを考えながら、所内の業務に携わっていると、集中力も阻害されるし、部下たちのやることにイラついてくることもある。

そうした、目に見えない消耗にむしばまれるリスクが、東京事業所の資料によって大幅に軽減される。

効果は絶大。

営業現場で最前線に立つ役割を担う社員にとっては、こういった事務系のことは決まったことを繰り返すだけで済ませられる状態が最もよく、エネルギーは全て顧客に振り向けたいのだ。

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