北海道株式会社の【法人】鑑定を終えて<1>

小説サイトのほうが、ようやく一段落しました。
こちらに掲載しています
前回の反省にもかかわらず、小説はより長くなってしまい、脱稿に苦しむことになりました。
それというのも、「【法人】の手相」に加え、今回からは「【法人】の記憶(データベース)」という要素を加えたからです。
今後はこのふたつを状況に応じて使い分ける形で進みます。

さて、『北海道株式会社』。
「大卒社員の採用にこだわる中卒の社長」というトピックで、その秘密を解き明かしていくストーリーになりました。

小説の中では書かなかった描写ですが、社長の机の引き出しには一枚のスナップ写真がしまわれています。
神輿の前で並んで立つ、威勢の良いねじり鉢巻きとハッピ姿の男ふたり。
若き日の実の父と、その親友であり“第二の父”でもある、北海道株式会社の創業社長です。

残念ながら、現社長はもはや二人と会うことはできず、力を借りることもできません。
だからこそ、経営者として、男として、重大な決断を下さねばならぬとき、憧れの父たちを想い、力を得ているのでしょう。

こういう写真を机の上に飾る人は時々見ます。
北海道株式会社の創業者でもあるから、もっと目立つところに置いても良いと思うのですが、現社長は個人的なものとして、社員の目につかない場所にひっそりと保管しています。

鑑定の中で『あなた』は【法人】が語る会社と社長の来歴に感動します。
せっかくの感動秘話を、そのままにしておくのがもどかしく、なんとか社員たちに知ってもらいたいと思います。

ソニーの設立趣意書ほどのものではなくても、“創業神話”みたいなものがあればよいと考え、社内報を思いつきます。

小説の中では「社内報の専門企業」へのプロデュース依頼を示唆していますが、これは実在する企業、株式会社ナナ・コーポレート・コミュニケーション(この稿を書くにあたって再確認したら、現在は「ナナ総合コミュニケーション研究所」に変わっていました)を念頭に置いて書きました。
この会社には、かつて私自身が直接関わったことがありますので、少しその時のことを書きます。

当時私のいた会社では、創業神話を作る目的ではなかったのですが、経営トップが社内報を思い立ち、私は編集委員の一人として加わることになりました。
『戦略的パワーユーザー<1>戦略とは見えざるもの』の稿でも少しだけ書きましたが、私は命じられる前から社内コミュニケーション活性化を狙って、ネット上で交流の場を作ろうと画策しており、社内報についても調べ上げていました。
だから、トップがこのタイミングで創刊を命じたことは、いわば渡りに船といったところです。

当初メンバー5人のうち、私だけが
「この試みは必ず成功する」
と信じており、それは良かったのですが、集団の中では完全に浮いた存在でした。

命じられたから集まっただけにすぎない他のメンバーにとって、企画会議などは見返りのない本務外の仕事ですので、建設的な意見は出ません。
直属の上司の(いつまでやってるんだ。仕事サボって)という白い眼を、常に気にしています。

それに、“命じられた社員”にとっては非常につらいことですが、『何の作業をすればよいか』について誰も明確な指示を出してくれません。
これは切実な問題です。

普段の仕事とは分野がまったく違い、日常の延長ではないので、慣れ親しんだ作業(得意技)は通用しません。
すると、付加価値をどう作ってよいかわからなくなるのです。

私が関わった社内報創刊プロジェクトでは、編集長自身も諦めの境地にいました。
「壁新聞みたいなモノしか頭になかった」
と、彼はのちに、私に打ち明けました。
別なメンバーはこう言いました。
「そのうち形骸化して、『やってます』的な言い訳のためにする無駄な作業になるだろうなと思ってました」

ひとりだけ意気込む私が、無理矢理な企画を作り、印刷会社の見積もりを取って依頼すれば、一応社内報はできたと思いますが、それでは上の二人がコメントしたレベルにしかならなかったでしょう。

どうしても、最初にメンバーの意識を変えるところから始めなければならず、そのためには『創刊号』を出す前に、全員の頭の中に『創刊準備号』をイメージさせる必要があったのです。

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